県議会代表・一般質問は首里城火災、津梁会議に集中 次期振計や教育問題への論議深まらず


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 県議会11月定例会は11日、代表・一般質問を終えた。10月31日の首里城火災から初めての定例会となったことから、再建の在り方などについて質疑が集中し、玉城デニー知事が早期の復興・復旧に改めて決意を示した。代表質問初日に復興過程の一般公開について崎山嗣幸氏(社民・社大・結)に問われた玉城知事は「可能な限り積極的な公開を進めていきたい」と表明し、早期の公開に前向きな姿勢を見せた。

 「わったー首里城」と表現してきた首里城の所有権の移転協議について當間盛夫氏(維新)に問われ、「事故の原因究明などを含めて必要な協議をしなければならない段階だ。協議は考えない」と否定。再建に向け自身が発してきた「県民の思いを反映させる」との言葉との整合性が問われるような答弁もあった。

 一方、野党は9月定例会に引き続き、玉城知事の目玉政策である「万国津梁(しんりょう)会議」について集中的に質問した。末松文信氏(沖縄・自民)が資料を基に受注業者への支払いについて問いただすと、県は5分野の会議のうち3分野の実施段階で業務委託料約2407万円の9割を支払っていたことを認めた。

 中川京貴氏(同)は「必ず住民監査請求が起きると思っている。行政訴訟が起きるかもしれない」など、県議会後に動きがあることを示唆。座喜味一幸氏(同)が概算払いが適切だったかを追及すると、謝花喜一郎副知事は「今後、総務部から(万国津梁会議を管轄する)文化観光スポーツ部に適切なアドバイスなどがなされる必要がある」と述べ、内部で検討する考えを示した。知事の看板政策の実施を巡り県庁内が揺れていることが露呈した。

 玉城県政の最大の柱である米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設を巡っても与野党から質問が相次いだ。玉城知事が10月に米連邦議会議員らと面会するため訪米した成果について質問した山川典二氏(沖縄・自民)に対し、県は「連邦議員に直接基地の現状を見てもらうことが沖縄の基地問題の解決に向け有意義だ」(池田竹州知事公室長)と今後の展開も踏まえて成果を強調した。一方、渡航費の負担については「米国の法令を確認している」と述べるにとどめた。

 辺野古移設問題や万国津梁会議支援業務に関する県の対応などに時間が割かれたこともあり、次期沖縄振興計画の在り方や県政の重要課題である教育、子育てなどの問題に関しては議論が深まらなかった。
 (松堂秀樹)