緊急着陸、部品落下相次ぐも…米軍、訓練優先に終始 安全求める住民と広がる隔たり 海兵隊員が漏らした一言とは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
2018年6月の普天間飛行場周辺の米軍機の航跡(沖縄防衛局の資料より)

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部に墜落した事故から3年、宜野湾市普天間第二小に米軍CH53E大型輸送ヘリコプターから窓が落下した事故から13日で2年が経過した。県や地元自治体が再発防止を求めてきたが、米軍機の緊急着陸や部品落下などが相次いでいる。米軍は「日本政府との合意の範囲内で運用している」などと“訓練優先”の姿勢に終始しており、安全を求める地元との意識の隔たりが浮き彫りとなっている。

 日米両政府は2004年の米軍ヘリ沖国大墜落事故後、普天間飛行場周辺の飛行経路を見直した。場周経路は飛行場周囲上空に設定されているが経路を大きく外れた飛行も確認されている。防衛局が公表している航跡調査では、飛行場の所在する宜野湾市だけでなく隣接する浦添市や北中城村、中城村などの民間地上空にも航跡が残っている。

 夜間の騒音を減らすための騒音規制措置も骨抜き状態で、宜野湾市に寄せられる苦情も増加の一途だ。これらの悪条件に加え、政府は事故の危険性と名護市辺野古移設を結び付けて正当化してきた。一方、県は辺野古移設は時間がかかり早期の危険性除去につながらないと指摘し、法廷闘争に発展している。

 オスプレイの事故以降、飛行場外への不時着や緊急着陸、部品落下が多発する中、当事者の米軍は18年6月のF15戦闘機墜落以降、県や県議会の呼び出しをたびたび拒否してきた。ある米海兵隊関係者は機体の不具合による緊急着陸や不時着について「なぜ事故が起こらないよう着陸したのに、沖縄では大きなニュースになるのか不思議だ」と漏らした。

 普天間第二小に窓を落下させたCH53Eの同型機が浦添市の浦西中学校にゴム製テープを落とした時や沖縄本島周辺で窓を落とした時にも県の呼び出しを拒否しており、練度を保つという軍の論理を優先させる姿勢が際立つ。

 県関係者は「『直接の被害も出ていないし』という思いがあるのかもしれない。軍人は基本聞いてくれない。不安に思う私たちの気持ちや行政の立場にはまるで配慮がない」とため息をついた。
 (明真南斗、当間詩朗)