バス運転手確保へ 大型二種免許の要件緩和で特区提案 沖縄県


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
運転手募集の広告を掲げて走る路線バス=2018年3月、那覇市内

 【東京】沖縄県内で路線バスの運転手が不足している現状を踏まえ、沖縄県は、国家戦略特区制度を活用して路線バスの運転に必要となる大型二種免許の受験資格緩和に取り組む方針だ。政府が13日に開いた国家戦略特区会議で、県が規制改革メニューを新規提案した。政府は今後、警察庁など関係省庁や特区ワーキンググループ(WG)での議論を踏まえて、改革メニューに加えるかを検討していく。

 道路交通法は旅客バスの運転ができる大型二種免許の受験要件を、21歳以上、かつ普通免許保有3年以上と定める。県の提案は、適切な安全対策を講じることを前提に、地域を限定して特例的に年齢要件を19歳以上、普通免許の保有を1年以上に引き下げるものだ。

 県内では入域観光客の増加を背景に貸切バス事業者の参入が続き、バス業者間で運転手の引き合いが激化。路線バスの運転手が貸切バス事業者へ転職する事例が相次ぎ、路線バスの減便が行われて通勤・通学など県民生活にも影響が出ている。

 県は、免許の受験要件を緩和することにより受験年齢が下がれば、高校生にとってもバス運転手が就職先候補にもなり得るとみる。

 若者が安定的に就職できるようにすることで、バス運転手の中高年労働力への偏重緩和や、地域の公共交通の安定化につながるとする。貸切バスの運転手も安定的に確保され、観光客の受け入れ基盤強化にもなると位置付ける。

 規制改革メニューにするかどうかの議論はこれからだが、政府の事務局によると同日の委員会では県の提案に前向きな意見が相次いだ。

 一方、規制当局には若者は自制心が相対的に希薄であり、運転技術に過信があるといった年齢制限の意義を指摘する声もあるという。過去には別の会議でも同様の規制改革が議題になった経緯もあり、議論にはハードルもある。

 玉城デニー知事は「提案内容の実現に向けて、国との調整を進める」とのコメントを発表した。