金武町伊芸の民間地に米軍の照明弾3発が落下した事故に関し、玉城デニー知事は18日、米軍が訓練再開の意向を示したことについて「再発防止に万全を期すのは当然だ。米軍の対応を厳しく監視したい」と語った。現時点で訓練再開には説明が不十分だという認識を示し「二度とこういう事があってはいけない」と強調した。
仲間一金武町長は「米軍はこれまでも事故が発生するたびに再発防止を講じたとするが、事故を繰り返している」として防止策の有効性を疑問視した。その上で「演習が続く限り事故は起こる可能性がある。解決策は住宅地周辺での演習の恒久中止しかない。国や米軍に求め続けていく」と話した。
元金武町長の吉田勝広県政策参与は「風速の基準を厳しくするというが、どれほど高く打ち上げているのかなど訓練の全体像が明らかになっていない。そもそも演習場は狭く、訓練に不適当だ」と批判した。
当初、伊芸区に近い射撃場「レンジ4」で訓練が実施されたと推測されていたが、米軍が使っていたと説明したのは伊芸区から約1キロ離れた「レンジ2」だった。県担当者は「こんなに流されるのか」と驚いた。
20日には県の金城典和基地対策統括監が在沖米総領事館を訪れ抗議する。県は県庁に呼び出したが、ロバート・ケプキー総領事は応じなかった。
県議会米軍基地関係特別委員会の仲宗根悟委員長は「照明弾の訓練でもパラシュート降下訓練でも狭い沖縄では常に風の影響で民間地に落下する危険性がある。訓練再開は無神経であり県民を無視している。被害が出てからでは取り返しがつかない」と非難した。
照明弾の落下事故を受け、県議会は20日の12月定例会最終本会議で、住宅地付近での訓練・演習を恒久的に中止するよう日米両政府や米軍に求める決議・意見書を審議し、全会一致で可決する見通し。