救急患者数最多ペース 沖縄の県立6病院、19年度上半期 救急医療の維持に懸念


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 2019年度の県立病院救急患者数が、例年に比べ増加傾向で推移している。県病院事業局によると、19年度上半期(4~9月)の県立6病院の救急患者数合計は6万2855人で、新型インフルエンザが流行して1年間の救急患者数が過去最多の12万8578人となった09年度に並ぶペースで増加している。そのほかの救急病院でも同じ傾向がみられるなど、救急医療の維持に懸念が強まっている。

 病院関係者によると、今年は7月ごろに乳幼児に肺炎などを引き起こす「RSウイルス感染症」が増えたほか、冬場の流行期を過ぎてもインフルエンザが慢性的に広がり、9月には警報が発表された。高齢化に伴う救急患者が徐々に増える中、時季外れのインフルエンザ流行が救急外来の利用者増を招いた。ゴールデンウイークなどで連休が多かったことも一因とみられるが、県内は当日に帰宅する軽症の救急患者が多く、救急医療を圧迫する要因になっているという。

 09年度上半期は救急患者数が過去最多(6万4265人)を記録し、救急病院が対応に苦慮して適切な利用を呼び掛けた。10年度以降は減少に転じ、14~18年度(18年度は速報値)の患者数は年間で10万~11万人台だった。19年度はこれから寒くなり、インフルエンザの流行期に入ることから患者数増が想定され、過去最多のペースで推移することが見込まれる。

 那覇市立病院も10月現在、前年度同時期に比べ約3千人多い2万4991人となっている。うち約9割が自分で歩ける程度の患者だった。

 県立南部医療センター・こども医療センターの小濱守安院長は「09年度は新型インフルエンザもあり、半分パニック状態だった。しかし今年はそうではない。本来の救急の役割を外れ、時間外の外来として利用するものだと思われている」と指摘。「本当に必要な人が来られなくなる可能性、懸念が出てくる。影響が出ないよう救急に余力がある状態をつくらないといけない」とし、不要不急の利用を控えることへの理解を求めた。(謝花史哲)