沖縄県議会経済労働委員会(瑞慶覧功委員長)は20日、議員提案による制定を目指している「県泡盛の文化の振興に関する条例」の素案について審議し、現在の県議の任期中に条例案を提出することを断念した。同条例を巡っては、名称や条文に「泡盛で乾杯の推進」という文言を入れるかどうかが課題で、各会派の意見がまとまらなかった。
同委員会は13日に、県酒造組合など4団体の代表者から意見聴取し、各団体とも「乾杯」の文言を入れてほしいとの意見で一致した。同組合など14団体は今年8月に「琉球泡盛で乾杯を推進する条例の制定を求める陳情」を県議会に提出していた。陳情は県議の任期満了に伴い効力を失うため、来年6月の県議選後、再度提出する必要がある。
同組合の佐久本学会長は、各団体と調整した上で陳情を再提出したいとの考えを示し、「県議の皆さんもいろいろと考慮して素案をまとめたと思うが、業界としては県民の関心を高めるため『乾杯』の言葉を入れてほしい」と述べた。
20日の委員会では、県議会各会派の素案に対する考え方が報告された。与党会派は「条例の名称や条文には乾杯の文言を入れない方がいい」との見解を示したが、沖縄・自民党会派は「『泡盛で乾杯』の文字を、条例の前文ではなく名称に入れるべきだとの意見でまとまった」と説明し、折り合いが付かなかった。
県議会事務局によると、条例の名称に「泡盛で乾杯」や「乾杯の推進」などの文言を入れるためには、乾杯を推進するための具体的な手法などを条文に盛り込む必要がある。条例で飲酒を推進する形になると、アルコール依存症や飲酒運転の問題を助長しかねないなどの課題があり、具体的な財政措置などを盛り込むことが難しくなるという。
泡盛文化の振興条例として素案をまとめた検討会委員の大城一馬議員(社民・社大・結)は、条例の名称ではなく前文に「県民が泡盛で乾杯して泡盛の文化に思いを巡らせることを願い、この条例を制定する」という文言を入れ込む折衷案を私案として提案したが、採用されなかった。
大城氏は泡盛の消費拡大や文化振興を目指す条例を制定したい思いは県議会も業界と一致しているとし、「今回、現職議員の任期が終わりに近い時期に陳情が提出されたこともあり、条例案を十分に練る時間がなかった。制定は次期の議員に託したい」と述べた。