企業が特別支援学校や福祉事業所の取り組みを理解することを目的に、「障がい理解と人財発見ツアー&講演会」(主催・中部地区障害者就業・生活支援センターにじ)が16日、開催された。沖縄市のオキナワグランメールリゾートで開かれた講演会では、市で引きこもり支援センターを設立した岡山県総社市の片岡聡一市長が講演。社会復帰や就労を目指す人たちの支援について話した。
片岡市長は、市の引きこもりの実態を明らかにするため、2017年4月に引きこもり支援センター「ワンタッチ」を開設すると、初日に当事者やその家族から連絡が殺到したと説明。開設前に地域が把握していた当事者以外に、地域が把握していない若年層を中心とした当事者の存在が明らかになったという。
片岡市長は「各市町村で引きこもり対策室を設置するだけでも、引きこもっている人にとっては一筋の光になる」と行政の支援強化を訴えた。
講演会に続いてパネルディスカッションが開かれた。片岡市長のほか、オキナワグランメールリゾートの川中由仁総支配人と社会医療法人敬愛会の玻名城仁人事課長が登壇し、引きこもりや障がい者雇用について意見交換した。
コーディネーターを務めたNPO法人障がい者就業・雇用支援センターの秦政理事長は「生きづらさを抱えている人は障害者手帳のありなしを超えてたくさんいるはずだ」と指摘した。
片岡市長は「中小零細企業が気概を持って、当事者を迎え入れることが社会参加につながる」と強調した。
川中氏は「障がい当事者を伸ばせる仕事かどうか見極めることが大事」と話し、当事者が楽しんで仕事ができる環境づくりの重要性を説明した。
玻名城氏は、当事者の要望に応じて業務の幅や労働時間を調整する事例を紹介した。
参加した沖縄市役所の親川鋼一さんは「市の引きこもりの実態把握ができていない。今後支援に取り組んでいきたい」と語った。