沖縄県警の採用倍率13倍、全国の倍 根強い公務員志望 減少する他府県警がリクルートも


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 2014~18年の高卒区分採用試験最終倍率が男女共に「13倍」前後で推移し、全国平均「約7倍」と比べて高倍率状態の沖縄県警。高い壁に阻まれても警察官を夢見る若者たちに、申込者数が減少している他府県警が“スカウト”を送り込むなど、熱い視線を注いでいる。一方で業績好調な県内民間企業への就職増を背景に、沖縄県警への申込者数自体も減少傾向にあることから、県警の担当者は高倍率が続く状況を歓迎しつつ、人材の流出に危機感も示している。

 高卒区分の対象は高校生や専門学校生。“高倍率の壁”に阻まれた県内の若者らに対し、全国でもいち早く、15年からリクルート活動に取り組んでいるのが愛知県警だ。同県警の高卒区分最終平均倍率(14~18年)は男性は約4倍で女性が約7倍。

 愛知県警の担当者は「沖縄県は警察官の競争倍率が非常に高く、警官を目指す若者が別の就職先を選択する現状がある。そこで県外でも活躍したい志を持つ若者を一人でも多く採用するため実施している」と説明した。これまで沖縄から愛知県警に採用された高卒者は7人いるという。

 県内で警察官などの公務員志望者が通う「専門学校那覇日経ビジネス」公務員ビジネス科の与那嶺哲講師によると、県警の採用は難関という。高倍率の背景に(1)他府県警に比べ採用枠が少ない(2)公務員への就職志望が根強い―ことがあると指摘。他府県警の活動については「愛知、神奈川、大阪、千葉の人事担当者が沖縄で説明会を開催するなどしている」と説明した。同校から県外に行く学生も毎年1~2人いるという。

 高倍率の沖縄県警だが課題もある。受験申込者数が減少気味で、18年は男性が863人と過去5年で最少だった。県警は受験資格に「身体基準」を設けていたが、19年採用試験から撤廃。人事を担当する警務部警務課の喜名啓信管理官は「人材確保の間口を広げるための対応」と説明するなど、現状に即して対応していることを強調した。
 (照屋大哲)