13日に開かれた自民党の沖縄振興調査会。昨年は就任間もない玉城デニー知事が出席して予算の確保を求めたが、この日、県を代表して出席したのは謝花喜一郎副知事だった。しかも、初会合が開かれた首里城の再建に関する委員会がメインで、県側は首里城の管理者として焼失について与党関係者らに「おわび」する事態に追い込まれていた。
関係者によると、知事の会食問題を巡り、県議会で自民と県執行部が鋭く対立する中、県三役の出席には否定的な声も根強くあった。
謝花副知事は沖縄振興予算についても概算要求額の確保や一括交付金の増額を求めたが、議論の場では退出し、予算について強く言える雰囲気ではなかった。
3年連続で3010億円となった沖縄関係予算だが、内訳を見ると交付対象を国が決めたり、使途が限定されたりしている予算が増加し、政府の裁量権が大きくなる傾向が強まった。
一方、使途の自由度の高い一括交付金は、かつては沖縄関係予算の半分を占めたが、2020年度予算案では予算の3分の1に近い1014億円にまで減った。1千億円割れも目前の状況だ。
今回の予算編成でも、一括交付金は減額を前提に議論が進んだ。衛藤晟一沖縄担当相は周辺に、一括交付金の増額は厳しい見方を示す一方、国が市町村などへ直接交付する「沖縄振興特定事業推進費」の増額に強い意欲を示していた。一括交付金を巡っては、市町村からハード事業の遅れも懸念され、強い増額要望が寄せられていたが、衛藤大臣は予算を公表した20日の会見で「所要額は確保した」とし、影響を否定した。
一括交付金の減少が続く中で、近年の傾向で顕著なのが、本来は一括交付金の対象になり得るものを、国が直接交付する別事業として新たに立ち上げるものだ。
20年度の新規事業として盛り込まれた、離島間の海底送電ケーブル更新を支援する「沖縄小規模離島生活基盤整備推進事業」は、当初は沖縄電力が県に対し要望した事業だった。県が難色を示したことから国に相談があり、事業化が決まった。
19年度に新設された「沖縄振興特定事業推進費」や、「沖縄観光防災力強化支援事業」など、一括交付金でも対象になり得るものが、別事業化された事業は多い。政府関係者は「一括交付金が使われるべきところに使われていない」と指摘し、国が直接補助する意義を語る。
一方、自民党議員の一人は、現行の沖縄振興特別措置法の期限切れを2年後に控え、政府が「予算構成を整理している」との見方を示す。
現在の沖縄振興計画の目玉として登場した一括交付金だが、政府与党サイドには自治体の執行力への疑問も渦巻く。予算配分でも、自治体間のバランスを重視するあまり「自治体が提案してくる事業が金太郎あめ(のように似ているもの)が多い。予算を県がグリップして、大きな効果があるものに集中投下してもいい」との批判もある。
前述の自民党議員は「予算の満額確保をただ求める、これまでと同じような要請では実らない」として予算要請の在り方を見直す必要性にも言及した。
(知念征尚)
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2020年度の沖縄関係予算は3年連続となる3010億円となった。決定に至るまで、どのような判断があったのか、内実や影響を探った。