県教委対応は「不当な差別」 重度知的障がい者の普通高校受験で 仲村さん側、沖縄県に助言申請


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 普通高校入学を目指し3度目の受験に備えている重度知的障がい者の仲村伊織さん(16)への対応を念頭に、県教育委員会が「特性に応じた教育課程を提供できず、生徒の学びを保障できない」との見解を示した文書を作成したことについて、仲村さん側は23日、県教委の見解は不当な差別に当たるとして、「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」に基づく助言・あっせんを県に申請した。県は申請を受け、調整委員会の開催に向け日程を検討する。

 同文書は「重度知的障害のある生徒の高校受験に係る教育委員会の考え方(法令上の根拠等)」と題した文書で、11月27日に琉球新報、沖縄タイムス両紙の記者に配布された。学校教育法や同法施行規則などを列挙し「高校では特別の教育課程が編成できない」と結論付けている。仲村さんの個人名はないものの、「当該生徒」と記載するなど仲村さんを想定した文書であることは明らかで、事実上、受験前にもかかわらず仲村さんの入学を認めない見解を示す内容だった。

 仲村さん側は「重度の知的障害であることを理由に学びの保障を行わないことは障がいを理由とする不当な差別に当たる」と指摘し、県教委が見解を差別と認め、直ちに撤回するよう助言、あっせんを求めた。文書で「重度知的障害」と記していることも「(障がい者の中で)重度知的障害者だけをことさら『別』に扱うこと自体も障害者差別に当たる」と訴えた。

 仲村さん側が入試を巡り同条例に基づく助言・あっせんを求めるのは、昨年に続き2回目。前回は入試での重度知的障がい者への評価方法を改めるよう求め、調整委員会は障がいに応じた意思疎通支援をすることなど3項目を県教委に助言した。