【記者解説】名護市議会が憲法95条適用求める意見書を可決したわけとは


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 名護市辺野古の新基地建設を巡り、憲法95条を適用して工事を強行しないよう求める意見書・決議を名護市議会が可決したのは、新基地建設は「地方自治権の侵害」だと全国に訴える狙いがある。

 憲法95条は一地方公共団体のみに適用される特別法は、住民の過半数の同意を得なければならないと定めている。今年2月の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票では、投票総数の7割が「反対」に投票した。憲法学者からは、憲法95条を根拠に「県民投票には法的拘束力がある」との指摘もある。

 意見書で国に工事を強行しないことを求める一方、同趣旨の決議では全国知事会会長や都道府県議会議長会会長らに憲法95条を適用して国に工事を強行しないよう求めることを要請している。全国の首長や地方議会に対し、新基地建設が地方自治を侵害しているとの認識を広め、行動を起こしてもらう狙いがある。

 新基地建設の即時中止や普天間飛行場の移転について、民主主義と憲法に基づいて公正に解決するよう求める陳情を採択する県外の地方議会も出ている。新基地建設に反対する沖縄の民意に呼応する動きだ。新基地建設工事の現場である名護市議会からの訴えを、全国の自治体がどう受け止めるかが注目される。

(塚崎昇平)