うたの島の掛け橋に BEGINデビュー30周年 「ヒットより結婚式余興で使われる曲に」


この記事を書いた人 問山栄恵
東京都渋谷区のロック喫茶「B.Y.G」の前で撮影

 今年デビュー30年を迎える石垣島出身のバンド、BEGIN。比嘉栄昇、島袋優、上地等の放つ音楽はブルース、島唄、ハワイアン、ブラジルのマルシャなど、さまざまなジャンルを吸収して、オリジナリティーあふれる楽曲を生み出している。

 バブル景気に沸く1980年代、幼なじみの3人は高校卒業後に東京へ旅立ち、バンドを結成する。栄昇は「優と等を誘って、ウチナーンチュも日本人だと証明できるような、誰よりもきれいな日本語で歌うバンドをつくろうと思った」と振り返る。その執念が実を結び、90年にはブルースの効いたデビュー曲「恋しくて」がヒットする。

 時代は流れ、安室奈美恵やMAX、DA PUMPが活躍。そんな中、3人は「涙そうそう」や「島人ぬ宝」などを世に送り出した。「日本中が沖縄に注目した。日本人と証明する役割は終えたから、次に行っていいんじゃないかと、沖縄音楽の入り口となるような曲を手掛けた」。優は「曲に励まされたと言われた時はうれしかった。音楽をやっていて良かった」としみじみ語る。

 時代と格闘しながら音楽を届けたように映る3人。栄昇は「全国ヒットするよりも結婚式の余興で使われるような楽しい曲を作ってきた。だから30年も続けてこられた」と笑う。BEGINの曲は世界中に広がり、多くの人を笑顔にさせている。等は「これからも音楽を続けていくし、新しい音楽にも挑戦したい」とひた向きな姿勢を見せている。
 文・金城実倫
 写真・喜瀬守昭

デビュー当時のBEGIN。(右から)比嘉栄昇、上地等、島袋優(テイチクエンタテインメント提供)

BEGIN メンバーは比嘉栄昇(ボーカル)、島袋優(ギター)、上地等(ピアノ)の3人で全員が石垣島出身。1990年にデビュー。代表曲の「涙そうそう」や「島人ぬ宝」「オジー自慢のオリオンビール」などは国内外で歌い継がれている。ブラジルやハワイで海外公演を行うほか、2001年から毎年6月、沖縄で「うたの日コンサート」を企画・開催し多彩なアーティストと共演している。昨年10月にはベストアルバム「BEGINガジュマルベスト」、11月には「BEGINライブ大全集2」をリリースした。