開会式の余韻を残したグラウンドに、前原イレブンが勢いよく飛び出してきた。県勢がオープニングゲームを戦うのは前年の那覇西に続き2年連続で、対戦相手は同じ東京代表。さらに5年前に前原が戦ったのも、同じ国学院久我山という偶然が重なった。0―1で敗れた因縁の相手にリベンジを果たすべく、前原の選手たちは試合開始から必死にピッチを駆け回った。
堅守から一気に攻め上がるのがスタイルだが、序盤から相手の巧みなボール回しに翻弄(ほんろう)され、ボールをなかなか奪うことができない。開始6分すぎにゴール前のボールをつながれ失点すると、5分後には2点目。23分にはフリーキックから決められ3点目を献上した。
その後も、体を寄せてボールを取りに行くが、体の大きな久我山の選手にはじかれてしまうなど、ボール支配率で圧倒された。
後半に入り、久我山の速いペースに慣れ、ボールを奪うなど、上々の立ち上がりをみせたが、12分すぎに4点目を与えてしまうと、その後も、久我山の容赦ない攻撃が続く。嵐のようにシュートを打ち込まれてさらに4点を奪われ、万事休す。懸命に前を向く前原の選手たちだったが、無情のホイッスルが鳴った。
和仁屋恒輝監督は「チャンスは少ないと思っていたが相手は想像以上の強さだった。大観衆の前でできたことはいい経験になった。選手たちは体を張り、自分たちのサッカーをやり切った。上を向いて沖縄に帰ろうと声を掛けた」と選手をねぎらった。
チームをけん引してきた3年の平川龍主将は「相手はテクニックが高く、自分たちのスタイルはあまり出せなかった。集大成の試合で、この仲間と楽しく終わりたかったので、笑いながら最後は楽しんで終わろうと思ってやっていた」と振り返り「また全国に戻ってきて、今度は8―0でやり返してほしい」と後輩たちにエールを送った。
(和田清・首都圏通信員)
第98回全国高校サッカー選手権は30日、東京・駒沢陸上競技場で開幕し、開会式後の1回戦で県代表の前原は国学院久我山(東京B)に0―8で敗れ、涙をのんだ。前原は粘り強い守備を続けたものの、久我山の攻撃を止め切れなかった。開会式では48代表校(東京2校)が入場行進し、日章学園(宮崎)の阿部主将が「新しい令和の時代をつくっていくのは私たち。この冬最も熱い大会にする」と力強く選手宣誓した。第2日の31日は、首都圏8会場で残りの1回戦15試合が実施され、決勝は来年1月13日に埼玉スタジアムで行われる。