建設ラッシュから一変? 沖縄県内住宅着工5年ぶり減へ 供給過多や先行き不透明感


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 2019年の県内の新設住宅着工戸数が5年ぶりに前年割れとなる見通しとなった。景気拡大や人口増加に加え、低金利の環境も追い風となって県内では建設ラッシュや活発な不動産投資が続いてきたが、19年1月から11月の着工戸数は前年同期比9・4%減の1万3854戸と1割近く低い水準で推移。特にアパートなどの貸家で着工数が大きく減少しており、業界では供給過多や先行きの不透明感を指摘する意見も出ている。

 国土交通省の統計によると、18年の年間合計は1万6803戸で、19年がこの実績を上回るためには12月だけで約3千戸を着工する必要がある。県内で単月の着工数は1千戸台で推移していることから、18年の実績を上回るのは難しい状況となった。

 19年11月末の項目別の実績は、アパートなどの貸家が前年同期比18・6%減の8489戸と大きく減少した。持ち家は同10・5%増の2691戸、マンションなどを含む分譲が同17・2%増の2602戸となった。

 地価や建築費が高騰しているため、比較的安価な木造の分譲住宅が伸びているという。

 貸家の着工戸数の伸びが鈍化したのは、建築コストの上昇などで収益性が低くなっていることに加え、スルガ銀行(静岡県)の不動産関連の不正融資問題を受け、金融機関に不動産融資を引き締める姿勢が広がっていることもある。

 県内の新設住宅着工戸数は、消費増税に伴う駆け込み需要の反動が出た14年に前年比7・2%減の1万5426戸となったが、15年に1万6136戸となって以降は増加が続いていた。

(平安太一)