【記者解説】沖縄の不動産市場に変化?住宅着工減の要因は?


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 2019年の新設住宅着工戸数が5年ぶりの前年割れとなる見通しとなり、県経済の好調さを示す指標とも言える不動産市場に変化が見られる。

 県内は景気拡大が続き、アパートやマンション建設が各地で進められた。しかし人手不足や資材単価上昇による建築コスト高に加え、住宅の供給過剰も指摘されるようになり、着工件数の減少につながった。

 件数に占める割合が高い貸家の大幅減が全体を押し下げた形だが、直近では個人の投資物件としても人気があったマンション売買の動きも鈍くなっている。

 県内への不動産投資は活性化で那覇市内のホテル用地が1坪数百万円で取引されるケースもあるなど、地価は右肩上がりとなった。一方で、地価の高騰で住宅やマンションの価格が跳ね上がることで、住宅取得の手控えなど需要を冷やすことにもなる。

 沖縄は引き続き世帯増が見込まれ、モノレールの浦添沿線の開発、20年3月の那覇空港第2滑走路の供用開始など不動産市場はプラスの要素がある。一方で、アパートやマンションの建設投資はピークを越えたとして、地価の上昇にも歯止めが掛かると先行きを指摘する不動産関係者もある。

 県内の建設業者の手持ち工事は依然高い水準にあるが、住宅着工の減少が長引けば県経済全体にも徐々に影響が広がるだけに、動向を注視する必要がある。

(平安太一)