衛星で漂着ごみ観測へ 定点カメラ、ドローン連携 琉大・民間企業が挑戦


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 人工衛星、ドローン、陸上の定点カメラを組み合わせ、海岸に漂着する海ごみを観測するプロジェクトが7日、始動した。企業と琉球大学や長崎大学などの研究機関がチームを結成し、プロジェクトに挑む。まずは沖縄や長崎県・対馬でごみの漂着状況を把握する予定で、将来的には地球レベルでの効率的なごみ回収、漂着予想を目指す。

地域の男性(右から2人目)らが回収した漂着ごみを前に意見を交わす工藤裕さん(右端)らプロジェクトメンバー=7日、本部町内の海岸

 同プロジェクトは、海岸を撮影した衛星画像を分析することで、ごみの漂着状況を知ることができる診断システムを構築する予定。海岸に設置した定点カメラやドローンでごみの漂着を確認し、同時刻の衛星画像にはどのように写るのかを分析することで、衛星画像からごみの漂着状況を確認できるようにする試みだ。

 人工衛星部品を開発する企業「天の技」(東京)の工藤裕CEOがリーダーを務め、ドローン関連の会社などがチームに参加する。琉大からは工学部の姜東植准教授が加わり、衛星画像の分析や現地担当者との調整役を担う。

 メンバーは同日、本部町の海岸を訪れ、漁業用の網やペットボトル、発泡スチロールなどが海岸に散乱している状況を確認。海岸の清掃活動を行っている地域住民や同町役場、県庁なども訪ね、情報を収集した。

 リーダーの工藤さんは「衛星画像をAI(人工知能)で分析する技術を持っていたので、何かに役立てられないか考えた。地上の情報でいつ、どこにごみがあるのかを知ることができれば、衛星画像の分析に役立てられる」と話した。

 プロジェクトは、日本財団、日本先端科学技術教育人材研究開発機構(JASTO)、リバネスが海ごみ削減を目指す「プロジェクト・イッカク」で採択された三つのテーマのうちの一つ。

 このほか、ごみ処理システムの開発や、プラスチックごみをリサイクル原料とした製品開発のプロジェクトが採択され、いずれも県内の企業や研究機関が関わっている。