豚コレラ新たに感染疑い 3キロ圏内2ヵ所の養豚場 飼育は計3500頭 被害拡大か


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順次土をかぶせ地中に埋めながら、殺処分した豚の埋却作業が進む市有地=9日午後2時18分、うるま市(小型無人機で撮影)

 うるま市内の養豚場で豚コレラ(CSF)の発生が確認された件で、近隣地域で感染疑いのある豚が新たに見つかったことが9日、複数の関係者への取材で分かった。県が感染の有無について詳しい検査を進めている。感染疑いのある豚は3キロ圏内にある2カ所の養豚場で見つかった。飼育数は合計で3500頭になるとみられる。豚コレラの陽性反応が出た場合、全てが殺処分の対象となる。 

 感染疑いの豚が飼育される養豚場のうち、1カ所は沖縄市に位置しているという。うるま市での豚コレラ発生を受けて、県は感染が確認された場所から3キロ圏内にある養豚場12戸で検査を実施した。検査結果を10日に公表する。

 新たな感染確認を受け、今後は検査の範囲を10キロ圏内にある養豚場まで広げる見通し。10キロ圏内でも新たな感染が見つかった場合、ワクチン接種の導入を検討する可能性がある。

 9日午後には畜産関係者を集めた説明会が開かれた。県畜産課の仲村敏課長は「(豚コレラを)全力で封じ込め、早期正常化に向けて防疫措置を進めている」と強調した。参加者からは防疫対策の強化を求める声が上がった。

 うるま市内では8日に豚コレラの発生を確認した。まん延防止のため、沖縄の在来種「アグー」を含む1813頭の殺処分が進められている。9日午後6時現在、1230頭の殺処分が完了した。県は10日までに殺処分を終えて、11日までに死骸の埋却を済ませる。県は本島全域の畜産関係者に豚舎の消毒措置などを進めるよう告示を出している。

 豚コレラは豚やイノシシに感染する病気で、人がうつることはない。感染した豚が養豚場から出荷された場合でも、食肉センターの検査で肉や内臓などの異常を見つけられるため、市場に出回ることはない。万が一、感染した豚の肉や内臓を食べても影響はない。

 うるま市で豚コレラ発生を確認した場所から3キロ以内は養豚場から家畜などの移動が制限され、3~10キロ以内の地域は域外への移動が制限されている。県は制限エリア内外の8カ所に消毒ポイントを設け、豚コレラの被害拡大防止のため対策を進めている。