沖縄で発生した豚コレラ ウイルスはどこから? 遺伝子検査で絞り込み


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 野生イノシシを媒介して感染が広がったとみられる陸続きの本土と違い、離島県の沖縄にどのような経路でウイルスが侵入したのか。国の農研機構動物衛生研究部門は遺伝子配列を解析する検査を行い、沖縄に侵入した豚コレラ(CSF)ウイルスが海外や本土のどのウイルスに近いかを特定することでルートを絞り込もうと急いでいる。

 沖縄で採取したウイルスの遺伝子の一部が本州で見つかっているウイルスの型と一致しているといい、国内の既存発生地が由来である可能性もある。

 ただ、2018年9月の発生以来、本土でまん延しているウイルスも元々は中国大陸など海外から侵入していることから重なりがあり、遺伝子全体の解析が必要になる。結果が出るまでには、1週間程度かかるという。

 本土からの侵入であれば、ウイルスに感染した豚の行き来や、ウイルスに汚染された食肉の持ち込み、人の衣服や靴底に感染イノシシなどのふん尿や唾液が付いて沖縄に侵入したことなどが考えられる。農水省は「本土から飼料を通じて侵入したことも否定できない」と話す。

 海外であれば以前から豚コレラが発生している中国やモンゴルからの感染が考えられる。国は那覇空港に検疫探知犬を2頭導入し、ソーせージなどの肉製品の持ち込みを取り締まっている。だが海外から肉製品を持ち込むことが禁止されていると知らない渡航者が多い現状がある。海外から持ち込まれた肉製品から日本で未発生の「アフリカ豚コレラ」の陽性反応が出る事例もある。