ユニマット、ゴルフ場着工「9月めど」 石垣市、農地転用へ手続き


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ゴルフ場を含むリゾート施設の9月着工に期待感を示す八重山ゴルフ協会の高木健会長(中央)ら=6日、石垣市の南の美ら花ホテルミヤヒラ

 【石垣】全国でゴルフ場運営などを手掛けるユニマットプレシャス(東京)が石垣島の前勢岳北側で計画する18ホールのゴルフ場を含むリゾート施設に関し、八重山ゴルフ協会(高木健会長)が6日、石垣市内のホテルで会見を開いた。高木会長は「9月着工のめどが立ちつつある」と報告。中山義隆市長や大浜一郎県議のほか、市内の主要経済団体トップらも同席し、計画を全面支援する姿勢を示した。

 ユニマット社は2015年10月に石垣島へのゴルフ場建設計画を発表。19年の開業を予定していたが、計画地に原則転用不可の農地が含まれていることなどから着工が遅れている。

 計画を支援する市は、規制緩和支援措置のある地域未来投資促進法を活用し、難航している農業振興地域(農振)除外や農地転用を図る方針を示している。

 会見で中山市長は、同法に基づく手続きや環境影響評価について「(9月までに)終わる見込みができた」とした。

 高木会長は「市民からは本当にゴルフ場ができるのかという声もあったが、やっと山が動いた。まだ道半ばなので、経済団体などと強いスクラムを組んで頑張りたい」と意気込んだ。

 リゾート施設の敷地面積は約127ヘクタール。ユニマット社の担当者によると、着工から1年半~2年後の開業を予定する。


農振除外・農地転用は不透明 市、投資促進法活用

 ユニマットプレシャスが計画するゴルフ場を含むリゾート施設に関し、市長も同席した八重山ゴルフ協会の会見で「9月着工」とのめどが示された。「9月」とのスケジュール感を疑問視する声がある一方で、そもそも地域未来投資促進法の活用で計画地の農業振興地域(農振)除外・農地転用ができるのかも確定的ではない。

 地域未来投資促進法は、市町村と県が共同で策定し、国が同意した基本計画に基づいた事業計画について、予算・税制や規制面などでの支援措置を定める。農地転用についても、許可するかどうかについて「配慮」を求めている。

 県の所管課である県産業政策課によると、市からは基本計画案が出されており、県の関係部局に意見照会中の段階。国の同意が得られる直近のタイミングの3月末を見据えて調整を進めている。

 市農政経済課によると、計画地はほぼ全域が農業振興地域で、原則転用不可の「第1種農地」も含まれる。担当者は計画地での農振除外・農地転用について「ゴルフ場整備のため(転用の)ハードルが高く、投資促進法に切り替えた」と説明。「9月までに手続きが終わるかは別にして、同法の活用で規制緩和されれば進められるとの認識だ」と期待感を示す。

 一方、沖縄総合事務局地域未来投資促進室によると、投資促進法の手続きで県や国の同意や承認を得たとしても、農地転用が約束されているわけではない。担当者は「可能性が出てくるということだ」とする。

 農振除外・農地転用には県の同意・許可が必要になる。県農政経済課は促進法活用に向けた手続きについて「現在内部で検討中で、農地転用などができるともできないとも言えない」とするにとどめる。

 総合事務局の担当者は「この農地はどうしても外すことができないなどと判断するのであれば、県は基本計画を国に申請する前に、市に対して見直しを求める可能性もあるのではないか」と話した。