海上自衛隊の那覇航空基地で行われた、中東海域に派遣されるP3C哨戒機の出発式には、緊張が高まる地域での任務を前に、張り詰めた空気が漂った。派遣に反対する市民団体は、批判を強めた。
出発した第38次派遣海賊対処行動航空隊の隊員は約3カ月、現地で活動する見通し。19日にチャーター便で向かう後発隊も合わせて約60人で、うち6人が県出身者。21歳から52歳までの男女だ。
隊員らはP3Cに乗り込む直前、家族に声を掛けたり、子どもを抱いたりしていた。家族や支援者が日章旗や旭日旗を振って見送る中、隊員を乗せた2機が飛び立った。
河野太郎防衛相は式典で残される隊員の家族に対し「隊員が安全に任務を遂行できるよう、しっかりバックアップしていく」と声を掛けた。第38次派遣海賊対処行動航空隊司令の稲生修一2等海佐は取材に「中東情勢を踏まえ、訓練を周到に実施してきた。任務に不安はない」としつつ「これまで以上に緊張感を持って情勢の把握に努め、安全を確保しつつ任務を完遂する」と語った。
海自の中東派遣に、沖縄平和運動センターの岸本喬事務局長(57)は「世論が形成されていない中での派兵だ。沖縄からの出撃するのは許せない」と批判した。