国のアグー隔離に沖縄県は「初耳」 受け入れ態勢巡り困惑も


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 豚コレラ(CSF)の県内での発生に関連し、江藤拓農相が表明した希少な在来豚「アグー」の隔離対策について、県は「初耳だ」と驚きを隠さず、関係者の間には隔離地での受け入れ体制などを巡り困惑も広がった。

 アグーの復活に尽力した琉球在来豚アグー保存会長で、元名護博物館館長の島袋正敏さんは「全ての豚を1カ所に隔離すると(感染した際の)危険度が高いため、分散する必要がある。移動中に感染するリスクも考慮し、慎重に対応する必要がある」と隔離の課題を指摘した。

 江藤氏は14日の閣議後会見で「種の保存が大変大切だ」と強調し、「県と相談し、しかるべき場所に隔離移転する検討を始めている」と述べた。施設整備の財政措置も実施する考えも示した。

 これに対し、県畜産課は「避難の必要がある状況になれば検討する」と述べたが、隔離に伴う感染拡大の懸念や移転先との調整について慎重な対応が必要としている。仮に隔離する場合は離島が候補地となるとの見解を示した。

 北部の離島自治体のうち、伊江村の担当者は「村内には個人で飼われているミニブタが5頭いるだけ。持ってこられても受け入れられる状況ではない」と話した。