労災死傷者1200人超か 19年沖縄県内、速報値で1121人


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 2019年に県内で発生した労働災害(休業4日以上)による死傷者が前年同期比84人増の1121人(速報値)になることが、沖縄労働局の16日までの調べで分かった。例年、確定値が出る4月までに100人余りの労災報告があることから、同局は19年の確定値が1200人を超える可能性があると見ている。労働災害が1200人を超えれば1979年以来となり、1989(平成元)年以降最多となる見込みだ。

 全死傷者1121人のうち、運輸を除く第3次産業648人、建設業202人、製造業148人、運輸業103人、第1次産業20人となっている。

 労働災害の増加について、同局健康安全課は「建設業は人手不足により安全管理が十分にできていないことが考えられる。建設業の死亡災害は前年の倍の8人に上る。現場はチームとして安全管理に努めてほしい」と話した。

 また、従事者が多い第3次産業でも労働災害が増加している。同局は「具体的には転倒による骨折などが多い。働く高年齢者が増えており60歳以上の労働災害が増加している特徴がある」と指摘した。

 死亡災害は11件発生している。建設業では19年7月中旬、雨戸の設置工事中に足場から転落した50代作業員が亡くなった。11月下旬には解体工事現場で350キロのケーブルが落下し、20代と50代の作業員が死亡した。旅館業では9月中旬、ダイビングの補助業務で船上で待機していた50代の作業従事者が海上で発見された。

 沖縄労働局と県内の各労働基準監督署は「各事業場が労働災害防止活動を活発化させ、労働災害の未然防止を徹底するよう周知啓発を進める」とした。