“ハンドボール王国”として知られる沖縄県浦添市で、同市当山の当山幼稚園の園児が、遊びの時間を利用してハンドボールの「自主トレ」に励んでいる。数人の園児が主体的に始め、今では十数人が試合形式で練習している。6歳とは思えない本格的なフォームでシュートする様子に、地域住民も驚きの声を上げている。教諭らも未来のオリンピック選手の成長を見守っている。
園内でハンドボールが始まったのは、昨年9月ごろ。小学校のハンドボールチームに所属する坂本大翔(たいと)ちゃん(6)と新垣大翔(だいと)ちゃん(6)、琉球コラソンの東長濱秀作監督を父親に持つ秀悟ちゃん(6)らが中心となり、次第にほかの園児にも広がったという。
新聞紙を丸めてガムテープを貼ったボールは、園児らの手作り。ボールが跳ねないのでドリブルはなく、ボールを持ったまま走っていいという独自ルールもある。試合ではハンドボール独特のジャンプシュートはもちろん、キーパーの意表を突いたループシュート、ディフェンスを惑わすシュートフェイント、ジャンプ中にパス交換するスカイプレーなども飛び出す。プレーの質は“プロ顔負け”だ。
園の教諭らは園庭にゴールを設置した以外は園児らの自主性に任せている。ルールも園児らが時にはけんかをしながらも話し合いで決めていき、今の形に落ち着いたという。
中心になった3人の父親は、当山小学校時代に全国制覇を成し遂げている。幼稚園を併設する小学校内には3人の父親の名前が彫られた石碑もあり、誇らしげだ。「将来の夢はハンドボール選手」と目を輝かせた。(稲福政俊)