沖縄から〝冬〟の大会に挑む 県内唯一の全国高校フィギュア出場の園田りんさん 「ノーミス」で恩返し


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高校最後の大会に向け練習に打ち込む園田りん=17日、南風原町宮平のスポーツワールドサザンヒルアイスアリーナ(新里圭蔵撮影)

 第69回全国高校スケート競技・アイスホッケー競技選手権大会が22日、北海道帯広市の帯広の森スポーツセンターで開幕する。県内からただ一人、女子フィギュアに北谷高3年の園田りん(18)=沖縄市=が3年連続で出場する。競技を始めて13年。県外に比べ、練習や競争環境で不利性を抱える中で、周囲の支えを力に自分磨きを続けてきた。「お世話になった方々への恩返しの気持ちで、ノーミスで演技をしたい」。大舞台は25日の予選ショートプログラム。高校生活最後の集大成の“冬”に挑む。

 大会は3日間で約120人による予選を行い、24人が最終日の決勝フリースケーティングに進出する。園田は前回、前々回と予選で敗退したが、昨年3月に技能検定の「バッジテスト」で全日本選手権の出場に必要な7級を取得。週6日の練習や自宅でのイメージトレーニングを重ね、技術を磨く。

 特に得点源となるジャンプの安定感には注力してきた。1、2年時は回転不足や転倒などで満足な演技とはいかなかった。3回転、2回転のコンビネーションを中心に、ミスのない演技を心掛ける。

 「自分から逃げず、向き合えるようになった」と高校3年間で精神面の成熟も実感する。12年間、園田を指導する元男子日本代表の津留豊コーチ(42)は「一つ一つの練習で気を付ける部分が深くなってきた」と競技に取り組む姿勢の変化に目を細める。「演技に強弱があり、元気よく見えるプログラムができる」と表現力を買っている。

 成長の最大の原動力は周囲への感謝の気持ちがある。県内では大会がないため、県外への遠征費などを捻出するのは簡単ではない。それでも支援を続けてくれた両親。津留コーチは選曲や振り付け、スケート靴のメンテナンスまで多方面で支える。競技を始めた5歳の頃から、毎日練習場に送迎する祖父・仲眞良博さん(76)は「頑張ってとしか言えないですね」と温かく見守る。

 園田は県内でコーチになるという夢を実現するため、大学進学後も競技を続け、さらに経験を積む考え。次のステップに向けて弾みをつけるためにも、大事な大会になる。「(県外に比べて不利な)練習環境は言い訳にしない。支えてくれた人たちのためにも、ノーミスで演技をしたい」。思う存分、銀盤で舞う。
 (長嶺真輝)