サッカーJ2のファジアーノ岡山はリーグ開幕へ向け、20日から恩納村赤間総合運動公園サッカー場で沖縄キャンプを行っている。26日まで。岡山には最年長でベテランのFW赤嶺真吾(36)=那覇市出身=、今季FC琉球から移籍したDF徳元悠平(24)=糸満市出身=とFW上門知樹(22)=うるま市出身=がおり、キャンプに参加している。県出身選手の在籍数としてはFC琉球と並んでJリーグ最多。昨季途中で琉球から期限付きで移籍し、今季で完全移籍となったDF増谷幸祐(26)もいる。沖縄にゆかりのある4人はチームが掲げる「J1昇格」を目指し、それぞれのポジションで精力的に汗を流した。2月29日に沖縄市・タピック県総ひやごんスタジアムでFC琉球と対戦する。
(喜屋武研伍)
FC琉球で育った県勢Jリーガーが、野心を抱いて新天地で始動した。豊富な運動量と左足の精度が持ち味のDF徳元悠平(那覇西高―城西国際大出)、急成長中のストライカー・上門知樹(与勝高出)は琉球の躍進を引っ張ってきた。複数クラブで活躍することで自身の価値を確かなものにし「J1でプレーし、日本代表入りを」とさらなる高みを見据えている。
22日の紅白戦では、徳元が左SB、上門は左SHで起用された。徳元は素早いビルドアップで上門に斜めのパスを入れる連係シーンもあった。有馬賢二監督やスタッフからは「グッド、グッド」と声が掛かる。2人は周囲の選手を巻き込みながら、何度も好機を演出した。
縦への素早い攻撃を得意とする岡山のサッカーに、徳元の豊富な運動量は申し分なく、指揮官からも「良い左足を持ってる」と評価は高い。徳元は「(琉球で)J3優勝を経験していて、J2で優勝すればさらに上も見えてくる」と昇格と代表入りに力を込めた。
上門は昨季15得点を挙げた仲間隼斗(柏レイソルに移籍)の背番号19を託されるなど、活躍が期待されている。22歳と東京五輪の選考に絡める年齢でもあり、「(東京を)1番に目指している。目に見える結果を残したい」と得点でアピールしていく。
岡山で過ごす今季の目標について徳元は「(赤嶺)真吾さんたちFWに、僕のクロスが生きると思う。2桁アシストを目指したい」、上門は「自分の特徴はシュート。ゴールを決めてサポーターと共に喜び合いたい」と語った。それぞれの思いを胸に、最高峰の舞台へ一歩ずつ前進していく。
赤嶺、自分の特徴出す
FC東京やベガルタ仙台などJ1経験の豊富なFW赤嶺真吾は、岡山で5季目に入る。チームの好不調の波にも、常に冷静な立ち回りで全体を引っ張るストライカーだ。チーム悲願のJ1昇格へ向け「毎日の練習で100パーセントやり切りたい。個人的には2桁得点を目指す」と力強く語った。
昨シーズンは3月に左下腿(かたい)部の肉離れで一時離脱。途中出場を含めた22試合でピッチに立った。この時期はシーズンを戦い抜ける体づくりを目的とする。徳元、上門ら若手の県出身選手がいることに「同じチームに県出身がいるのは初めてで、少し違和感はあるが、練習や生活面を含めてサポートしたい」と頼もしい。
岡山は昨季、リーグ終盤にプレーオフ圏内(6位以内)にいたものの、勝利が遠ざかり、9位で終えた。徳元ら実力のある8人を補強するなど、最高峰の舞台へ向け準備を進めてきた。チーム一のベテランは「(県勢)3人で試合に出られたら最高。自分の特徴を出したい」と闘志を燃やしている。
増谷、攻守で存在感示す
琉球で攻守の要として3季半プレーしたDF増谷幸祐は、岡山の右サイドバックで攻撃の起点として存在感を示している。
「ショートパス、ロングパスの比率は琉球と真逆」。岡山のサッカーはポゼッション志向の琉球と異なり、縦パス、ロングパスを活用する。その中で、「守備のバランスを崩さず、攻撃関与を増やしたい」と向上心を示す。
2月29日に沖縄で行う琉球戦へ向け「しっかり勝って、観客が楽しんでくれるようなゲームにしたい」と古巣との対戦を心待ちにしていた。