イルカの人工繁殖に成功 冷蔵保存の精液での出産は国内初


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
母のマーニーに寄り添って泳ぐ子どものイルカ(オキナワマリンリサーチセンター提供)

 【恩納】恩納村山田のオキナワマリンリサーチセンター(OMRC)は22日、鹿児島県で採取後、保存液で希釈して運搬した精液を使ったイルカの人工繁殖に成功したと発表した。子どもは生後1日で死亡したものの、冷蔵保存で長距離輸送しての妊娠、出産は国内で初めて。

 OMRCは恩納村と本部町の2カ所でイルカを飼育し、ふれあいプログラムや自然体験プログラムを実施するなどイルカを通じた社会貢献や研究事業を行う。人工繁殖についても鹿児島県のかごしま水族館と共同研究を進めている。

 2018年12月1日にOMRCが飼育するメスのマーニーに人工授精を実施した。受胎に成功し、19年11月26日に出産したが、子どもは予定より早く生まれた低体重児で、27日に死亡した。

 OMRCの小林利充所長は「残念な結果にはなったが、従来の冷凍保存より簡便な冷蔵保存で受胎が成功したことは、国内で飼育する鯨類の遺伝子多様性を保つ一助になる」と話した。