記録的な暖冬で、県民の消費動向にも異変をもたらしている。野菜の供給量が増えて価格が下落する一方で、「冬の定番」である鍋に使う野菜の売り上げは低迷。青果市場の仕入れ担当者からは「泣きたいくらいだ」と悲鳴が上がる。寒さ知らずの今季は、冬物家電にも「ほとんど動きがない」(家電販売店担当者)といい、各方面に暖冬の影響が出始めている。
沖縄協同青果(浦添市)によると、暖冬の影響で全国的に野菜の生育が良く、出荷量が増えている一方で、価格は下落している。
21日現在の野菜の入荷量は前年比107%で、平均単価は1キロ当たり前年より34円安い165円。県内産の野菜は入荷量が同118%、平均単価は同61円安い200円、県外産は同16円安い125円。品目別でみると、県内産はキャベツ64円(前年93円)、レタス78円(同132円)、キュウリ300円(同379円)、ピーマン353円(505円)。県外産ではバレイショ128円(同120円)、タマネギ99円(同158円)、白菜51円(同52円)。担当者は「全国的にどこの市場も厳しい。泣きたいくらいだ」と漏らす。
リウボウストアの生鮮食品部門担当者によると、今年1月の野菜の売り上げは昨年から2~3割減となっており、特に鍋に関連する野菜の売れ行きの不調が目立つという。担当者は「トマトやブロッコリーなどサラダ野菜については売り上げが堅調だが、鍋の具材として使われるホウレンソウやきのこ類の売れ行きが特に厳しい」と指摘する。
家電の売れ行きにも暖冬の影響が見える。ヤマダ電機テックランド那覇本店の担当者は「今年は寒くなることがなかったので、暖房器具はほとんど売れていない」と語る。また、大手量販店の仕入れ担当者は「去年もそうだったが、例年のような売り場計画が立てにくくなっている。この傾向が続くようだと、暖冬を前提にした計画の立案も必要になってきそうだ」と話していた。