「首里城が失われ悲しくてならない」 映画007出演の女優・浜美枝さん 再建に向け伝統工芸職人にエール


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首里城焼失を受け「何か役に立てれば」と話す浜美枝さん=23日、東京都のセルリアンタワー東急ホテル

 【東京】首里城焼失を受けて、沖縄の職人の素晴らしさをいま一度知ってもらおうと本土で発信を続ける人がいる。女優の浜美枝さん(76)だ。「失われたのは建物だけでなく、琉球王朝時代からの収蔵品や復元品も。技術の粋と琉球の心が詰まった首里城が失われ悲しくてならない。職人さんがいてこその復元。これを機に本土の人にも沖縄の伝統工芸を知ってもらいたい」と建物だけでなく工芸品にも光を当てたいと願う。

 昨年10月の首里城焼失の報に触れ、居ても立ってもいられず「何かお役に立ちたい」と沖縄の知人に電話していた。これまで何事につけても表に出るのは好まなかった浜さん。そんな浜さんが首里城のため、沖縄県民の心のためにと動いている。

 浜さんの沖縄訪問は日本復帰前からで、50年以上になる。柳宗悦の民芸運動がきっかけで沖縄の伝統工芸にほれ、それからは沖縄通い。身の回りには沖縄のやちむんや琉球ガラス、漆器、各地の織物がある。中でもひかれるのは花織。読谷山花織の復興に尽力した人間国宝の故与那嶺貞さんに依頼して、読谷山花織の着物と帯をつくってもらった。

 23日に東京で開かれた「沖縄観光感謝の夕べ―沖縄ナイトin東京」にも、与那嶺さんの花織の着物と帯を身に着けて出席した。「復元は簡単に急にできるものではない。伝統を受け継ぐ職人たちがいてこその復元。だからこそ職人たちにエールを送りたい。観光の中にももっと沖縄の工芸を位置付けて、工芸を通して本土の人に沖縄の歴史を知ってもらいたい」と話した。 (滝本匠)