女性警官募集の〝顔〟に4歳育児中のママ 「希望する部署から離れても諦めない」


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パンフレットを手に女性警察官の募集をアピールする平田麻衣子巡査部長=浦添署

 47都道府県の地方女性警察官約2万6千人の中から選ばれた警察官が、仕事のやりがいやプライベートの過ごし方などを通して働く姿をアピールする「都道府県女性警察官募集」のパンフレット。警察庁が2012年度から毎年度約1万5千部発行し、採用拡充を目的に活用されているが、19年度版に浦添署少年課の平田麻衣子巡査部長(32)が沖縄県警から初選出され、紙面を飾っている。

 県警拳銃射撃競技大会で準優勝した経歴を持ち、4歳の娘の育児に励みながら職務に取り組む平田巡査部長。パンフレットについて「プロのカメラマンが撮影してくれ、良い思い出になった」と照れ笑いする。

 幼い頃に見たテレビドラマ「はみだし刑事」に憧れ、10年に採用試験に挑んだ。「採用枠が少ない。私になれるわけがないと一度は諦めかけた」が、一念発起。大学在学中に専門学校に通い、採用人員の限られた狭き門を突破した。

 憧れの警察官となり、19年から浦添署少年課に配属。少年や保護者に対し、きめ細かな配慮をする平田巡査部長は署員らの信頼も厚い。瑞慶山力浦添署長は「非の打ちどころがない警察官」と太鼓判を押す。

 浦添署の職員定数は事務職を合わせて154人(1月現在)。そのうち女性は20人で、全体に占める割合は約13%。全国平均の約10%と比べると高い比率だ。

 平田巡査部長の夫も現職警察官。育児や家事の分担に夫婦で取り組む。今後、働く限りは産休や育休の取得は避けられず、警察官として積み上げたキャリアを失ってしまうのではという懸念を抱きながらも、「今は地道に多くの事案を経験したい。この先、希望する部署から離れたとしても、再度目指せばいい。諦めない」と力強く話した。
 (高辻浩之)