「同型機の運用停止を」 沖縄県が外来機事故で異例の対応 米軍ヘリ本島沖墜落、防衛・外務に抗議


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米軍ヘリ墜落を受け、田中利則沖縄防衛局長(中央)と官澤治郎外務省沖縄事務所副所長(左)に抗議文を手渡す謝花喜一郎副知事=28日午後、県庁

 米海軍のMH60Sヘリコプター1機が那覇空港から約174キロの海上に墜落した事故を受け、謝花喜一郎副知事は28日、沖縄防衛局の田中利則局長と外務省沖縄事務所の官澤治郎副所長を県庁に呼び出し抗議した。再発防止と原因究明、安全管理の徹底に加え、安全確認まで同型機を県内で運用させないよう求めた。県によると、県外に拠点を置く部隊が起こした事故で同型機の飛行停止を求めるのは異例。

 2018年のFA18戦闘攻撃機の墜落では拠点が県外であることなどから同型機の運用停止は求めていない。謝花副知事は「外来機が県内に度々飛来しており、事故も起こしている。踏み込んで運用停止を求めざるを得ない」と説明した。

 沖縄本島と南北大東島をつなぐ民間船の航路やソデイカの漁場が近接していることを問題視し「一歩間違えば漁船や民間船舶などの被害につながりかねず、大変遺憾だ」と訴えた。

 事故の表現について「状況や原因など詳細は明らかになっていないものの、ヘリが艦艇まで戻ることができなかったことは実質的に墜落と変わらない状況だ」と指摘した。

 米海軍がウェブサイトで「went down」と説明していることにも触れ「『落ちた』というイメージで捉える」と強調した。「そういうつもりはないと思うが、矮小(わいしょう)化することなく客観的な事実に基づいて公表してほしい」と求めた。

 田中局長は「事案の詳細はこれから米側が調査する。こちらに共有されれば、適切に説明したい」と答えた。飛行停止要求には「(米側に)求める場合もあれば求めない場合もある。今回、防衛省は求めていないが、県の申し入れ内容は本省にも報告する」と述べた。

 官澤副所長は「防衛省と協力して米側に(要請された内容を)働き掛けたい。頂いた意見は東京の外務本省に伝えたい」と話した。