教育長「学び保障できない」は撤回 重度障がい者の高校入学で 受け入れは困難変わらず


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平敷昭人県教育長(右手前)と話し合う仲村伊織さんの父・晃さん(左から2人目)、母・美和さん(同3人目)や支援者ら=30日、那覇市の県庁

 重度の知的障がいがあり、今春3度目の県立高校受験に挑む仲村伊織さん(17)の家族や支援団体らが、昨年11月に県教育委員会の示した「学びの保障ができない」とする考え方の撤回と謝罪、普通高校への入学許可などを求め、同12月に県教委と玉城デニー知事宛に提出した要望書への回答が30日、県教育庁であった。県教委は「『学びが保障できない』といった表現には誤解があった」と撤回する一方、受け入れについては「制度設計に時間が掛かる」と答え、改めて来年度の受け入れが困難との考えを示した。

 回答には伊織さんをはじめ、仲村さん家族や県内外の支援者ら約50人が集まり、10時間以上にわたって話し合った。

 支援者らは11月に県教委が示した見解によって「入学が法的に可能ではない」との印象を教員や学校長に植え付け、合否判定に影響を与えた可能性を指摘し、改めて撤回を要望した。

 平敷昭人県教育長は「入学が違法と示すような意図はなく、誤解を与えたことをおわびする」と謝罪し、「高校では重度知的障がいのあるなしにかかわらず、入学した全ての生徒に対し法律上学びの保障ができる」と修正。報道機関や学校長に対して改めて修正した認識を周知するとした。

 今月、大阪府などを視察した平敷教育長は「先進地での事例を参考にしながら進めていきたい」としながらも「現場の体制も考慮すると次年度すぐということは難しい」と答えた。また、県立学校教育課は「合格できなかった場合、正式入学ではないが、高校で一緒に過ごす時間を増やすことも検討している」と説明した。

 家族や支援者からは「あとどれだけ待つのか」「子どもの権利を侵害している」と怒りや落胆の声が上がった。