滑走路が米基準を満たさず 辺野古軟弱地盤で沈下の見込み 補修の必要性も


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 【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、軟弱地盤の改良工事を経て建設される滑走路が米軍の性能基準を満たしていないことが分かった。防衛省は滑走路の設計について米軍と調整し、国際民間航空機関(ICAO)の指針に準拠していると説明するが、基地建設を進める上で米軍基準の適用を回避した形だ。河野太郎防衛相は31日の参院予算委員会で「飛行場として問題なく運用可能だ。米側に説明し確認を得ており、特段の懸念が示されたということはない」と語った。

 国内の米軍基地にも適用されている米軍の統一施設基準(UFC)では、滑走路の端から300メートル未満で勾配に変化が生じない設計が求められる。だが辺野古の工事では、計画される2本の滑走路の両方で施設の使用開始後も地盤がふぞろいに沈む「不同沈下」が見込まれ、使用開始後20年間の最大沈下量は北側滑走路で約8センチ、南側滑走路で約12センチと予測される。

 防衛省の担当者は、UFCの規定があくまでも「設計段階の勾配」であり、その後生じる「不同沈下」に関するものではないと説明している。

 同省が軟弱地盤改良を進めるため設置した有識者による「技術検討会」の議論では、ICAOの指針に沿って、沈下の地点から「45メートルで3センチを超えない」ように対策を検討。この範囲に抑えるため、使用開始後20年で北側滑走路で2回、南側滑走路で4回のメンテナンスが必要とされる。

 滑走路の基準については、伊波洋一参院議員(沖縄の風)がこれまで野党の会合などで、防衛省の担当者に「米軍基準をクリアできていない」と追及していた。

 31日には防衛省の「技術検討会」の第4回会合が開かれ、施工時や施設完成後の地盤沈下を把握する「動態観測」の方法などを議論した。委員からは米軍機が着陸する地点や、長時間駐機する場所での集中的な観測を求める意見があった。