国際交流基金が設立した日米センターの日米草の根交流コーディネーターとして、バージニア州のメアリー・ワシントン大学に派遣された那覇市小禄出身の上原美奈絵さんは、学生や子どもたちに日本への関心と理解を深めてもらおうと奮闘している。大学のクラスでは六つのテーマで日本文化を紹介。その一つの「日本伝統音楽」の講義では、沖縄から持参した三線を弾き、沖縄の伝統芸能を紹介した。「日本におけるマイノリティーグループ」の講義では、アイヌ民族と共に沖縄と琉球語についても伝えた。
大学生だけでなく、地域の小中高校を訪問して日本文化を紹介している上原さん。書道は師範の腕前で、子どもたちにうちわに書を書かせるなど書道の魅力を伝えている。
異文化理解について「米国ではさまざまな民族の人たちが共に働いている。今の職場でも半分以上は、異文化の人たちだ。一つの文化に融和するのでなく、個に重きを置くのでそれぞれの文化を尊重する異文化理解は自然のこと」と語る。
米国で学んだのは「大切なのは意見をはっきり言うこと」という。「日本的な言わなくても伝わるだろうは通じない。互いに配慮しながら、なおかつ自分の意見を伝えるのが上手で、クッションのような言葉があると学んだ。最初は戸惑ったが2年目の今は、その環境に慣れ充実した毎日だ」と話す。
上原さんは「将来は沖縄の若者が外に目を向け、外国で学ぼうという思いを後押しする仕事がしたい」と力強く答えた。
国際交流基金が設立した日米センターは、2002年から日米両国の相互理解を目指すプログラムの一環として日米草の根交流コーディネーター派遣に取り組んでいる。これまで70人余が米国各地の日米協会や大学などに派遣され、日米交流の懸け橋の担い手として活動している。高い英語力が求められ、筆記試験と日本語と英語での面接で選抜される。 (鈴木多美子通信員)