新型肺炎のデマに注意 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[145]


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モバイルプリンス

 

中国で新型の肺炎が広がっている。中国の人口1千万人の大都市・武漢で公共交通機関が停止され、都市が事実上閉鎖された。

さらに残念なことに、この件で日本でデマや不確かな情報が出回っている。

例えば、Twitterでは「武漢から到着した中国人観光客に熱と咳があったため、関空(関西国際空港)から病院へ送られたが、検査を受ける前に逃げた。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)と京都に行く予定だそうだ」としたデマが拡散した。

大阪の吉村洋文府知事も「この情報はデマです」と注意を促した。

 

新型肺炎はよく報道されていますが、そうしたことがあったんですね。
 

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さらには「中国で日本の健康保険に“悪乗り”する方法が拡散… 新型肺炎で中国人が押し寄せる危険性」と題した記事も拡散した。

これは、日本に住んでいる人たちからお金を集めた「健康保険」の制度を中国の人たちが悪用しているという不確かな情報だ。

このうわさは以前からずっとあるが、厚生労働省は2018年に「不正は2件しか確認できない」と発表しており、小さなことを大きく騒ぐ「針小棒大」という言葉にピッタリな状態だ。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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こうしたデマや不確かな情報の問題は、まず混乱がむだに広がることだ。関西の人たちは不安に駆られ、関空やUSJの対応も増えるだろう。

さらにこうしたデマは、簡単に人種差別へとつながる。「逃走した」「健康保険を不正に使う」というデマを見聞きすることで、「中国人はルールを守らない、自分勝手な人たち」という印象や偏見が植え付けられる。

むしろ、偏見があることでデマも「あり得る」と拡散される側面もある。デマと偏見はお互いに増長する関係なんだね。

 

確かにそうですね。
 

モバイルプリンス

 

同じ日本人でもいろんな人がいる。それなのに「○○人」と、違う人たちを同じ箱の中に入れて、「全員がずるい人たち」という発想は、差別への第一歩なんだ。

一見すると、「用心するに越したことはない」と、情報を確かめずに拡散したくなるかもしれないが、デマの影響はその後も長く長く続く。

いま一度、落ち着いて冷静に情報を見極めるのと同時に、こうした差別構造も意識したいね。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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