修学旅行生を対象に、首里城の案内など交流企画に取り組む興南中学校、興南高校の生徒でつくる興南アクト部が、焼失前の首里城正殿の姿をVR(仮想現実)を使って体験してもらう新たなガイドを4日から始めた。興南アクト部の部員約40人は同日、近江兄弟社中学校(滋賀県)の2年生128人を対象に首里城公園内を案内し解説した。首里城を巡りながらのガイドは昨年10月の火災後、初めて。
VRは、東京大学の川上玲氏を中心に首里城のデジタル復元に取り組むプロジェクトが制作した映像。VRサービスの開発を手掛けるハコスコ(東京都)から寄贈されたVRゴーグル20個を使用した。
当日は12班に分かれ、アクト部メンバーが解説しながら守礼門、歓会門、広福門などを回った。泰神門前では、スマートフォンと組み合わせたゴーグルを装着しVRの正殿を鑑賞した。生徒らは「リアル」「すごい」などと声を上げた。
興南アクト部部長で生徒会長の仲村篤紀さん(17)は「焼失は残念だったけど県民が一つになり再建に向けて立ち上がっている」と説明した。VRを体験した近江兄弟社中の田中ことねさん(13)と榊原詩(うた)さん(14)は「迫力があった。本物を見たかったけど映像で見ることができて良かった」と喜んだ。今井新之介さん(14)は「同年代の説明は親しみやすく勉強になった」と感心していた。