【記者解説】過去2番目の高い沖縄県予算、重点的に配分する分野は…


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 県の2020年度一般会計当初予算案は好調な県経済や消費増税による過去最高の県税収入を背景に16年度当初予算に次いで2番目に高い予算となった。玉城デニー知事が公約で掲げている中高生の通学バス無償化は実現できなかったものの、対象を非課税世帯に広げるなど将来的な実現を目指す組み方となった。一方で収支不足は前年度比で6億円増の215億円生じた。例年200億円規模の収支不足が出る中、財政健全化も急務となっている。

 玉城知事が就任してから本格的な予算編成に取り組むのは2回目で、「新時代沖縄の到来」「誇りある豊かさ」「沖縄らしい優しい社会の構築」の3本柱を中心に施策が展開されている。中でも「沖縄らしい優しい社会の構築」の教育福祉分野では新規事業や予算の拡充が目立つ。

 減額が続く一括交付金では、ソフト交付金の減額分39億円のうち29億円を県分で減額した。市町村の減額分を10億円にとどめ、市町村からの不満に配慮を見せた形だ。

 辺野古新基地建設を巡り政府との対立が続く中、沖縄関係予算の増額などは見通せていない。沖縄21世紀ビジョン基本計画も残り2年となり、次期振興計画の策定も課題として迫る中、県には自立型経済の構築と行財政改革の推進が求められている。
 (当間詩朗)