香港客船 那覇寄港中止 新型肺炎 政府の回避要請受け


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 国土交通省は7日、新型コロナウイルスによる肺炎を発症した恐れのある人が確認された香港発のクルーズ船「ウエステルダム」に、日本へ入港しないよう強く要請したと明らかにした。米シアトルに拠点を置く運航会社「ホーランドアメリカライン」はこれを受けて、新たな運航計画策定を急いでいると明らかにした。8日の那覇港寄港は取りやめた。「船内での感染は確認されていない」としているが、横浜への寄港後の今月15日から予定していた次のクルーズは中止するという。

 赤羽一嘉国交相は7日、ウエステルダムについて「8日の那覇港寄港を取りやめ、当面のスケジュールを白紙とし、次の寄港地を検討する旨の連絡が入った」と明らかにした。

 政府から入国を認めないよう通知を受けて那覇港管理組合は対応を協議していたが、結論を出す前に運航会社側から港の使用を取りやめる通知があった。同組合によると、ウエステルダム号は泊ふ頭8号岸壁(若狭バース)に接岸する予定だった。

 台湾メディアは7日までに同船につき「38人に明確な症状があり、台湾当局は4日、下船を拒否した」と伝えていた。

 国交省によるとウエステルダムの乗客は1455人、乗員は802人で、うち日本人は乗客4人と乗員1人。現在は沖縄付近を航行しているとみられる。運航会社によると、石垣島に寄港した後、那覇、長崎、福岡を経て15日に横浜港に入る予定だった。

 日本政府は6日、入管難民法に基づき、乗船している外国人の入国を拒否することを決めた。ただ海上運送法上、強制的に入港を差し止める仕組みはないという。

 国交省によると2月に日本へ寄港を予定しているクルーズ船はほかに外国船籍2隻、日本船籍2隻。赤羽一嘉国交相は7日の記者会見で「個別の船舶の事情に応じ、政府全体の方針に従って適切に対応する」と述べ、乗客に感染の疑いがある場合は入港を認めないよう港湾管理者に求めた。