11管が宮古の海に配備した“ぐるくん”とは?


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 第11管区海上保安本部は、昨年12月に新たに配備したAOV(自律型海洋観測装置)愛称「ぐるくん」を報道陣に公開した。「ぐるくん」は全長3メートル・重量150キロで、自然エネルギーを用いて無人で海上の気圧や潮位などを観測する機器。那覇港から測量船天洋に積まれ宮古島東方海域で今月1日から観測を開始した。11管海洋情報調査課の大泊理八海洋調査官(33)は「ぐるくんは雨にも風にも台風にも負けず、24時間リアルタイムな海の状況を観測できる。県民生活に役立つ」と期待を寄せる。

「AOVぐるくん」の観測開始を前にメンテナンスを施す第11管区海上保安本部の大泊理八海洋調査官=1月31日、那覇港

 「ぐるくん」は、波の力を取り入れ平均時速約1・3ノットで船のように海面を進む観測装置。八の字状にプログラムされた指定経路を自立航走し、太陽光パネルで船体部に装備された最新機器に電源を供給する。

 約1年にわたり広範囲に海面を移動し気象や海象データを収集し、遠隔地のオペレーターと人工衛星を通じ相互通信を行う。

 また、干潮時の水面の高さを観測することで、領海や排他的経済水域を決める際の根拠となる低潮線を精密に導き出すことができるという。観測データや現在地などは11管のホームページで随時公開される。

 石垣島出身で魚のグルクンも好物だという大泊調査官は「漁業やマリンレジャーなど、県民に役立つ観測にしたい」と語った。

(高辻浩之)