新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が那覇に寄港し乗客の多くが下船していた問題で、沖縄県が10日までに、感染者との接触が否定できないバスやタクシーの運転手ら約180人を特定し、健康観察を始めたことが分かった。県は特定者から同意を得て検査する方針だったが、9日までに発症は確認できないとして検査は求めず、健康観察での対応に切り替えた。
ダイヤモンド・プリンセスが那覇に寄港した1日時点で感染は確認されていなかった。那覇港管理組合によると乗客2679人のほとんどが下船し、多くは市街地に観光で出掛けたとみられる。クルーズ船は同日に那覇を出発。国は5日になって感染を確認し、乗員・乗客の感染者は10日までに135人となった。
県は5日から乗客が利用した観光バスやタクシー、港湾関係者らの特定を進めてきた。ただ感染者が下船したか把握できない状況にあり、接触した可能性のある範囲の対象を広げて独自に健康観察を決めた。対象者特定は今後も進める。
特定できた対象者は各保健所と協力し、体温や咽頭痛の有無などを毎日実施する予定。健康観察は、感染が疑われる人と長時間接触するなどした「濃厚接触者」のうち、「無症状の場合は検査せず健康観察を行う」とした国立感染症研究所の調査要領を参考にした。
健康観察は「感染の広がりリスクを低減させる対策を取る」としているが、県の対象者は濃厚接触が断定できないため、活動の自粛依頼しかできないという。県関係者は「できる限りの対策を講じたい」と話した。