【中部】米軍嘉手納基地を離着陸する機体の飛行経路や、騒音を発する機種を把握し、住民の具体的な負担軽減に取り組むために沖縄県が3月末までに沖縄市、嘉手納町、北谷町に計10台の高機能定点カメラを設置することが10日、分かった。沖縄国際大での米軍ヘリ墜落事故を機に、国や県は普天間飛行場周辺にカメラを設置し米軍機の航跡を監視してきたが、嘉手納基地周辺に設置するのは初めて。県や関係市町は蓄積したデータを客観的証拠と位置付け、米軍や政府に騒音などの負担軽減を求める際の基礎資料として活用する。
米軍嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・當山宏嘉手納町長)による独自の調査などで近年、外来機の飛来増加に伴い苦情件数が増え、騒音発生地域に変化が生じていることが判明している。三連協は県に対しカメラの早期設置を要請していた。
県は2019年度基地周辺地域生活環境対策事業の一環としてカメラ設置に約3千万円を計上。沖縄市に5台、嘉手納町に3台、北谷町に2台をそれぞれ設置し、4月1日から記録を始める。カメラは騒音発生時に自動撮影が作動する仕組み。騒音測定器で観測した数値と、カメラの映像を照らし合わせることで米軍機の飛行経路と騒音を発生させた機体を、より詳細に分析できるようになる。
當山町長は「一番の問題は米軍機が住宅地上空を飛行し、爆音をまき散らすことだ。飛行経路や騒音の実態を可視化することで、実効性のある負担軽減策につなげたい」と期待を寄せた。
県は19年度事業として、普天間飛行場にも高機能カメラ3台を追加で設置する。(当銘千絵)