【東京】12日の衆院予算委員会で安倍晋三首相が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う環境影響評価(アセス)手続きで「県知事からは1500件以上におよぶ意見をいただき全て反映をしている」と答弁した。しかし当時の仲井真弘多知事は2012年のアセス意見書で普天間飛行場の「県外移設および早期返還の実現」を求めており、政府はこれに対応していない。安倍首相の答弁は、辺野古移設が沖縄側の意見を踏まえ、合意に基づき進められてきたとの誤解を与える内容となっている。
普天間飛行場の辺野古移設の合意を巡る首相答弁でも、沖縄側が求めた条件に応じ閣議決定にも盛り込んだ「軍民共用」と「15年使用期限」を消滅させたことには触れず、今の辺野古移設に無条件に沖縄側が合意したように誤解を与える内容でもある。
安倍首相は12日の予算委員会で、赤嶺政賢衆院議員の質問に答え「5年間にわたって環境影響評価をしたが、県知事からは1500件以上に及ぶ意見をいただき、これを全て反映をしている」と答弁した。
仲井真知事(当時)が12年2月20日に沖縄防衛局に提出した「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書」に対する意見書で「県としては、地元の理解が得られない移設案を実現することは事実上不可能であり、日本国内の他の地域への移設が、合理的かつ早期に課題を解決できる方策であると考え、日米両政府に対し、同飛行場の県外移設および早期返還の実現に向け、真摯(しんし)に取り組むよう、繰り返し求めてきた」と立場を示していた。
安倍首相は辺野古移設の合意について「県知事あるいは名護市長の同意の下、移設先を辺野古とした。02年にこれも沖縄県、地元自治体で構成する協議会で辺野古での建設は埋め立て工事等を行うことを決定をし、さらには06年に、小泉内閣の時だがV字型とすることで沖縄県、名護市と合意をして進めてきた」と説明した。
だが当時の稲嶺恵一知事は、軍民共用と15年使用期限を条件に合意した。政府はいったんは2条件を閣議決定したが、その後、辺野古移設についてこれら2条件を外した内容で閣議決定し、稲嶺氏は反発している。