首里城再建願い 区に伝わる民謡を上演 郷友会が「国頭サバクイ」


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 正殿など計8棟が焼損する火災に見舞われた首里城の再建に向けた動きが活発化する中、首里城ゆかりの「国頭サバクイ」が9日、那覇市寄宮のJAおきなわ真和志支店で上演された。国頭村奥間区に伝わる民謡で、首里城火災を受け、国頭村の各字郷友会の連合組織「北斗会」の総会で初披露した。区民と共に舞台に上がった山城美保子区長(56)は「首里城の一日も早い復興を祈って歌った」と語った。

北斗会の総会で国頭サバクイを披露する国頭村奥間の区民ら=9日、那覇市寄宮

 「国頭サバクイ」は、首里城の造成や改築の際、本島北部の深山から切り出した建築木材をふもとの鏡地まで切り出す様子を歌い踊った労働歌。国頭村奥間区の区民らが昨年10月に4年ぶりに上演した。

 9日の北斗会の舞台には、山城さんはじめ8人の区民が参加。きこりに扮(ふん)した男性の「サー 国頭サバクイ」という力強い歌声に続いて、郷土に伝わる民謡を歌い踊った。

 山城さんによると、国頭サバクイは、琉球王朝時代、首里城の北の御殿の落成祝いの宴席で披露されてから芸能として伝わるようになったという。

 昨年10月には、「沖縄の伝統芸能」の演目の一つとして、浦添市の国立劇場おきなわで区民ら約40人が木材を海辺に運ぶ様子を舞台劇のように上演。1989年の首里城正殿修復工事起工の際には、国頭村や名護市などで披露された。

 山城さんは、「郷土にゆかりのある首里城が燃えてしまった喪失感が大きい。私たちの歌と踊りで傷ついた人たちの心を少しでも癒やせれば」と話していた。