沖縄県は14日、県内で60代の女性タクシー運転手=本島南部在住=が新型コロナウイルスに感染していたことを確認したと発表した。県内での感染確認は初めて。県によると、女性は2月5日からせきなどの症状が出て、12日に医療機関を受診した。肺炎の所見が見られ検査を実施したところ、ウイルス検査で陽性反応が出たため感染者と確定した。現在、指定医療機関病院で治療を受け、容体は安定しているという。県は女性の家族や同僚ら15人を濃厚接触者として健康観察している。
女性は集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が1日に那覇に寄港した際、下船した乗客が利用したタクシーの運転手だった。女性は那覇市若狭のバースで日本人とみられる乗客4人を乗せ、約40分かけて本島南部の観光施設に送迎した。
女性は5日にせきがひどくなった後も、医療機関を受診するまでタクシー運転業務に従事していた。県は30分以上乗客した人が濃厚接触者に当たるとして、タクシー料金から時間を把握し追跡調査する方針。女性の発症後の行動やその他の接触者については、県南部保健所が調査を進めるとしている。
県はクルーズ船の乗客と接触が否定できない約200人の観光バス運転手やタクシー運転手を特定、健康観察を続けていた。感染が確認された女性はリストに入っていなかったが、医療機関の診察から判明した。
さらに14日までにクルーズ船とは関係のない2人を検査したが、陰性だったと明らかにした。県はこれまでに計9人のウイルス検査を実施。8人は陰性だった。現時点では検査の予定や症状を訴えている人はいないという。
新型コロナウイルス感染による肺炎患者の発生を受け玉城デニー知事は14日、県庁で危機管理対策本部会議を開催し今後の対応などについて話し合った。会議後の会見で「県は全庁を挙げて新型コロナウイルス感染症対策に取り組むとともに、県医師会などとも連携し、患者に対する医療提供体制の確保に万全を期したい」と話した。感染拡大を防ぐため県は改めて、こまめな手洗いや人混みを避けること、せき症状がある場合のマスク着用など感染予防対策の徹底を呼び掛けた。