感染女性、せきあるも一般医療機関での受診勧められる 県の観察対象リストから漏れ


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沖縄県庁(資料写真)

 県は、1日に那覇港に寄港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客と接触した200人程度のリストをつくっていた。玉城デニー知事はリストに上がった人たちの健康観察を関係部局に指示していたが、14日に新型コロナウイルスへの感染が確認されたタクシー運転手の60代の女性はそのリストから漏れていた。県によると、女性は保健所にせきの症状があると申し出たが、リストに氏名がなかったため指定病院ではなく、一般の医療機関の受診を勧められて受診していた。

 「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客との接触があったにもかかわらず、保健所が女性に一般の医療機関に行くよう勧めた理由について、糸数公保健衛生統括監は「発熱がなく、リストにも入っていなかった」と説明した。

 県が作成していたリストは乗客が利用した観光バスの運転手やガイド、タクシーの運転手、入国管理官や港湾関係者などの氏名が記載されていた。関係機関からの報告を基に作成したリストだったが、宮城力企画部長は「タクシー協会の接触者リストに女性が含まれていなかった」と明らかにした。

 女性はせきの症状が出た1週間後の12日に南部保健所に電話で相談したが、リストに氏名がなかったため、保健所が一般の医療機関の受診を勧めていた。県は先月29日の専門者会議で、感染が疑われる患者については症状の程度にかかわらず、指定病院で外来や入院診療を行うことを確認していたが、リスト漏れという想定外の事態が発生した。同医療機関が隔離措置など感染対策をとって診療しているかも情報がないという。

 県は運転手の同僚など15人程度に対し、症状が出た場合には人混みを避け、早めの医療機関の受診を勧めている。だが、外出制限などまではしておらず、今後どれだけ感染拡大を抑えられるかは不透明だ。