新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染が県内でも確認されたことで、県経済への影響の広がりが懸念される。県内シンクタンクは観光業の打撃に加え、国内客や県民にレジャー、外出を手控える動きが広がり消費が冷え込む事態も指摘している。
りゅうぎん総合研究所の久高豊専務は「現時点で既に旅行意欲は低下している。韓国、中国からの観光客が減少していることに加え、感染確認によって国内客の鈍化も生じると観光業への影響はかなり大きくなる」と警戒する。観光産業は裾野が広く、運輸業や飲食業、食材を提供する農漁業にも影響が広がることを警戒する。
沖縄の観光客増加を見込んで新規のホテル建設が相次いでいる中で宿泊客が急減していることから、値下げ競争が発生しやすい環境にあるという。久高氏は「一度単価を下げると需要がかなり増えるまで戻しづらくなる」と指摘し、「売り上げが大きく減少する企業も出るだろう。行政は支援策をしっかりと打ち出すことが必要だ」と求めた。
おきぎん経済研究所によると、SARS(重症急性呼吸器症候群)の影響を受けた2003年に、外国客は対前年比で44・5%減少した。ただ、当時はまだ外国客は全体数が少なく、主要な国内客が誘客キャンペーンや航空路線の拡充、海外旅行の沖縄旅行への振り替え需要などにより7・1%増加。入域観光客全体でも対前年比5・2%増加となった。
同研究所は「県内での(COVID19の)感染確認によって外国客のみならず国内客も沖縄旅行を避ける傾向が強まると、入域観光客数の減少につながりかねない。長期化すれば影響が観光産業の各方面に広がる可能性はある」と分析した。県民が人混みを避けたり外出を控えたりするなどの動きが拡大すると、消費に影響が及ぶ可能性も排除できないと指摘した。