辺野古新基地護岸、崩壊恐れも 専門家ら軟弱地盤データ基に検証 国の港湾基準満たさず


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
新基地建設へ埋め立てが進められる辺野古沿岸部=2020年1月

 名護市辺野古の新基地建設で、水面下70メートルより深い地盤が「軟弱」であることを示すデータが存在していた問題について、立石雅昭新潟大名誉教授(地質学)ら調査団がこのデータを基に護岸の安定性を独自に検証したところ、最悪の場合崩壊する可能性があるとの結果が出たことが16日、分かった。防衛省はこの深い地点の地盤強度を再調査する必要はないとするが、立石氏は「調査をやり直した上で、データを公表するべきだ」と指摘した。

 問題のデータは、コンクリート製の大型護岸の設置が予定される「B27」地点の地盤強度を示したもので、防衛省の委託業者が調査していた。立石氏によると、このデータをそのまま用いて地盤の安定性を分析したところ、国土交通省の定める港湾施設の基準を満たさない上に、この地盤の上に設置予定の大型護岸が崩壊する恐れがあるとの結果が得られたという。

 防衛省はデータについて、委託業者が自主的、簡易的に調査したにすぎず、信頼性も低いとして設計には反映させていない。河野太郎防衛相は14日の記者会見で、データは「(強度を調べるための)力学試験と呼べるものではない」と説明した。B27の深い地盤の強度について、同省は150~750メートル離れた他の3地点での力学試験などを基に「非常に固い」と結論付けている。

 防衛省は軟弱地盤の改良工事に入るために必要な計画変更を来月にも県に申請する。有識者でつくる同省の「技術検討会」で議論が尽くされているとして、B27地点の再調査は「必要ない」(河野氏)としている。

 立石氏ら調査団は地質や地盤などの専門家十数人で構成。これまでも地質調査などを踏まえ、辺野古新基地建設予定地に活断層が存在する可能性が高いことなどを指摘している。