時差出勤、在宅勤務、情報共有… 新型肺炎で企業が対策いろいろ


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 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、県内企業でも感染防止の対策を社員に呼び掛ける動きが広がっている。厚生労働省が17日に受診の目安を示したことなどを受け、国の指針をまとめたカードを配布して社員に周知する動きなどが見られた。一方で、感染防止や接客対応のためマスクの着用を社員に奨励しているものの、マスクが全国的に品薄となって入手が難しくなっている。「増産すると聞いているが、在庫の枯渇に間に合うのだろうか」と戸惑いも多い。

 政府は発熱など風邪の症状がある社員は出勤させないなど、企業への協力の呼び掛けを強めている。出退勤時のバスやモノレールの混雑を避けるため、企業の実施できる対策として時差出勤やテレワーク(在宅勤務)の導入などが挙げられている。

 旅行業の沖縄ツーリストは、厚労省が示した症状の目安や保健所の連絡先を記載したカードを作成した。財布などに入れて持ち歩ける名刺サイズにし、19日にも全社員に配布する。担当者は「万が一、類似した症状が出た場合、パニックにならずに対応できるようにした」と話した。

 ホテル業のザ・テラスホテルズも、厚労省の指針を基にして「業務中に症状が出た場合は速やかに他者との接近を避けて報告する」などの対応手順を策定し、社内で共有した。

 沖縄電力は手洗いやうがい、マスク着用など感染対策の徹底に加え、中国への不要不急な渡航自粛を求める外務省の感染症危険情報を周知している。18日には危機管理事務局を設置し、情報収集に努めている。

 金秀本社は、朝礼などで新型肺炎の発生状況を説明し、国の指針をまとめた資料を回覧するなど注意喚起に努めている。出入り口などに消毒液を設置し、相談窓口なども周知している。担当者は「体調が悪そうなら帰宅させるなど、感染させず広げないための対策を取っている」と語った。

 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)は、ペーパーレス化やデータのクラウド化など在宅勤務がしやすい環境を整えており、月の所定労働時間を満たせばある程度自由に働けるスーパーフレックス制度を導入。担当者は「人混みを避けて時差出勤する対応も可能」と説明し、今後の状況次第で在宅勤務の導入も検討するという。