県内2人目の新型コロナウイルス感染者はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客が利用したタクシーの運転手だった。1例目のタクシー運転手の女性と同様に県の調査リストから漏れていた。発症から発覚まで数日が経過しており、リスト漏れが発見の遅れにつながった。県やタクシー業界など関係者の間で危機意識の共有が不十分だったことは否めない。
県は5日にクルーズ船で集団感染が確認されたことを受け、1日に那覇で下船した乗客と接触した観光バス運転手やタクシー運転手を特定する作業を進めた。県側は、県企画部と沖縄総合事務局が連携し、タクシー協会に乗客接触の報告を徹底するよう促してきたと説明し、情報が埋没したのはタクシー会社に「危機意識が足りなかったと思う」との見解を示した。
不特定多数を相手にするタクシー運転手が感染源となれば市中に広がる危険性は大きく、追跡調査も難しくなるが、今回の2度にわたるリスト漏れは結果的に連携や意識の共有ができていなかったことを浮き彫りにした。
県側にも業界に対する報告周知の促し方に問題はなかったのか。まだ感染者が埋もれている可能性は否定できない。県はタクシー会社個々の問題にするのではなく、課題を整理し対応することが求められる。
(謝花史哲)