人ごとではない… 感染ルート不明で新たな局面 高齢者施設は警戒を強化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
感染ルートが分からない新型コロナウイルスの感染者が確認され、高齢者施設は警戒を強めている(写真と本文とは関係はありません)

 沖縄県内で新型コロナウイルスの3例目となる感染が確認されたことを受け、高齢者向けの医療・介護事業者に不安が広がっている。新たな感染者は80代の高齢者で、既に感染が確認されているタクシー運転手やクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」乗客との接触はないとみられる。感染ルートが判然としない新たな局面に突入しており、全国では高齢者が死亡するケースが続発していることから、県内の事業者からは「人ごとではない」などと危惧する声が上がる。

 宜野湾市の介護付有料老人ホーム「こころ」の宮城貴美子所長は「入所者が風邪をひいたり体調を崩すと、提携先の病院に預ける。ウイルスの保菌者が病院内で感染を広げる恐れもあり心配だ」と医療施設での二次感染を警戒する。

 同施設には70~90代の約25人が入所。看護師やケアマネジャーら30人のスタッフが勤務する。新型ウイルス感染拡大を受け、予防策としてマスクの着用と手洗いの徹底を周知している。

 スタッフには人混みや不特定多数と接触する会合参加などを避けるよう要請しているが、宮城所長は「お願いはできても強制はできない」と頭を抱え、「感染の可能性のある人の追跡調査など、県や市も対策を徹底してほしい」と訴えた。

 65~98歳の高齢者を1日約40人程度受け入れている豊見城市の「デイサービスセンターとよさき」の職員で介護福祉士の喜納正人さんは、「今後も感染が広がっていく恐れがある。基礎疾患を抱える通所者も多く、感染が出たらと考えると怖い」と漏らす。

 南城市から委託を受けて介護予防事業を開催している同市社会福祉協議会の大田聡地域福祉課長は「(市中感染であれば)2人目の感染とはまた状況が違う」と強調。「既に今月中のミニデイ教室中止を決定しているが、中止期間の見直しなどすぐに話し合わなければならない。利用者の中には早期再開を求めている様子の人もいるが、感染拡大を阻止するためにできることを全てやらなければならない」と話した。

 新型コロナウイルスの感染予防のため、宜野湾市は21日から赤道と伊利原の両老人福祉センターを臨時閉館する。