新型肺炎で相談増加 影響深刻、厳しい経営 融資制度中小企業セーフティネット


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 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が県内でも拡大し、融資制度「中小企業セーフティネット資金」に関する問い合わせが増加している。県中小企業支援課によると、5日から21日に企業や支援機関などから142件の相談や問い合わせが寄せられた。那覇商工会議所は20日までに、同資金の融資に必要な認定書39件を発行した。同会議所は「県内企業の経営環境は厳しくなっている」と説明する。

 セーフティネット資金は災害などで経営環境が悪化した中小企業を対象にした制度で、運転資金として最大3千万円を融資する。首里城火災や豚熱(CSF)、新型コロナウイルスなどが対象災害に認定された。融資を受けるためには、市町村や商工会、商工会議所から融資対象認定書の発行を受ける必要がある。

 新型コロナウイルス関連で、県には宿泊や飲食業、旅行業の事業者から相談や問い合わせが寄せられた。県の担当者によると、首里城火災や豚熱に関連した相談は1日1~2件程度だったが、今回は1日10件ほどがあるという。担当者は「県内の多くの事業者が影響を受けている可能性が高い」と指摘した。

 那覇商工会議所では1日に4~5件、認定書発行の申し込みがあるという。すでに発行した39件は飲食業が8件で最も多く、観光サービス業が6件、小売業と宿泊業がそれぞれ5件などとなった。事業者からは「旅行キャンセルが増加している。ここ1カ月半でキャンセル総額は数千万円となった」(旅行業者)、「県民が混雑を避け始めており、顧客が減少した」(小売業者)など相談があったという。

 同会議所は「(2002~03年の)SARS(重症急性呼吸器症候群)の発生時より沖縄を訪れる中国客は増えており、以前よりも深刻な状況になっている。今後は県内客の消費が鈍ることも懸念される。企業には積極的に相談してほしい」と話した。